育休取得を拒む上司

5月28日、東京成徳大学子ども学部の3年生を対象に、キャリアデザインの授業を実施しました。

当日のテーマは「共働き家庭のリアルとキャリア形成」

この授業では、次の4つの立場から家事や育児、育休について考えるきっかけになるよう構成しました。

  • 自分自身が将来、育児や育休に向き合う立場として
  • 周囲の同僚が育休を取ることにどう向き合うかという視点
  • 保護者や子どもと関わる支援者としての視点
  • 自分自身が育てられた側としての振り返り

こうした複数の立場を意識することで、「育児=誰かのもの」ではなく、「いつか自分にも関わるテーマ」として捉えてもらえることを目指しました。

家事育児とキャリアを多角的に考える4つの授業テーマ

この日の講義では、次の4つのチャプターに分けて授業をすすめました。

・日本と海外の家事・育児の実態
・私自身の男性育休取得時のリアルなスケジュール
・育児支援に関する制度や社会資源の活用と課題
・家事・育児の経験とキャリアのつながり

それぞれのテーマでクイズや問いかけも交えながら、学生が楽しく学べる工夫をしました。


家事育児経験は職場の仕事でも活かせる

講義では、私自身が6か月間の男性育休を取得した際のリアルな体験も紹介。

保育園の送迎や通院、日々の家事や育児に追われるスケジュールは「てんこ盛り」。子どもの就寝中など、合間に夫婦の「休み」はあるものの、実態はフル稼働の日々でした。

けれどその中で、段取り力や共感力、柔軟な判断力といったスキルが自然と磨かれ、いつの間にかそれがルーティンに。

「育休はキャリアのブランクではなく、キャリアを鍛える場だった」と実感しています。

授業内では、「育休を拒まれたらどうする?」というドラクエ風の4択ワークも実施。

選択肢は「たたかう」「まほう(制度を使う・話し合う)」「にげる」「したがう」の4つ。

学生のみなさんに聞いてみたところ、最も選ばなかったのは意外にも「したがう」という結果に。

声に出さずとも、「変えていこう」という気持ちが伝わってくるクイズの時間でした。


制度と現実のズレに気づくことが、働く上での力になる

育休や両立支援の制度は整いつつありますが、実際に活用できるかどうかは、職場の理解や周囲の空気に大きく左右されます。

「制度がある=誰でも使える」とは限らない――そんな現実を知っておくことは、将来どんな職場・立場にあっても大切な視点です。

この授業が、自分の働き方を考えるとともに、子育てや家庭と仕事の両立について、立場の違う人の視点からも考えるきっかけになればうれしく思います。

そして、家庭での経験も仕事に活きる「キャリアの力」になるという考え方を、ぜひ心の片隅に置いてもらえたらと思います。

キャリア教育・講演のご依頼について

キャリアリカバーでは、大学・専門学校・教育機関向けに、学生の「キャリアへの気づき」を後押しする講義やワークショップを提供しています。

これまでに、多様な現場で「業界研究」「キャリア形成」「就活準備」「しくじり講師の人生失敗談」など、50種類以上の講座を実施。

学生の属性や目的に応じて、内容は柔軟にカスタマイズ可能です。

特に、自己肯定感や将来への不安を抱えた学生からは「自信がついた」「失敗しても挑戦していいと思えた」などの前向きな声を多数いただいています。

「学生の背中をそっと押す」キャリア支援を、現場目線でお届けします。

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